トリイミュージック

 

音楽を楽しむ上で、絶対音感があると良いと聞くことは多いです。ただ、実際に音感が何の役に立つのかはあまり知られていません。

今回は、音感の具体的能力と、身につくことでどんなメリットがあるのかをお子さん目線で考えてみたいと思います。

 

絶対音感の定義

ここで説明する「絶対音感」の定義は、ランダムに鳴らされた楽器の音を、基準音を頼らずに「ドレミ」で答えられる能力とします。

まずは、下の動画をご覧ください。

絶対音感のメリット

絶対音感は、基準音を頼りにせずとも、聴いただけで正確な音階を瞬時に理解できる力です。

でも、そんな力が身に付いたからといって、いったいどんなメリットが有るのでしょう。

 

①一人での練習がしやすくなる。

音感が無いと一人で練習できないというわけではありません。
また、音感があれば必ず一人で練習するようになるわけでもありません。

お伝えしたいのは、誤った音を弾いた時に、「あっ!」っと、すぐに気づくことが出来る力がより強いので、間違いを指摘する人がいなくても大丈夫だということです。

自分の出した音が間違っていることに気づかない人は、レッスンで指摘されるまで直せません。それが度々あると、自信を無くすのです。

「これで正しいのか間違っているのかわからない。」

そんな気持ちのまま練習するのは楽しくないでしょう。早くから音感を身につけておくと、音楽的な自立も早く、自信をもってドンドン先に進めるのです。

大人になってからピアノを再開するような時にも、自分の出した音の違いに気づけない方は、やはり自信が持てず長続きしません。ピアノに限らず音楽を楽しむために耳の力は、何よりも大切かも知れません。

②曲を素早く正確に、しかも膨大に記憶できる

音感保持者の多くは、同時に音楽ボキャブラリーの多さでも驚かされます。

たとえば、幼少に聞いた曲を大人になってからも覚えていたり、テレビドラマやアニメ番組のテーマ曲だけでなく、挿入歌やBGMまで克明に覚えていることもよくあります。CM曲にも敏感です。

しかもハ長調、イ短調などどいう調性も原曲どおりに覚え、忘れません。

鮮明に記憶した曲は、年月を経て次にその曲を聴いた時に、頭で原曲に忠実に再生され、そうでない人と比べ、より強く興味や関心が生まれやすくなります。

人と再開し顔を見た瞬間、より鮮明に思い出が蘇ってくる人の方が、より早く打ち解けることが出来るのと同じように、曲を忠実にたくさん知ってた方が、弾いてみたい、歌ってみたいという気持ちが、より湧いてくるのはとても自然なことです。


4,5歳のヤマハ音楽教室は、「弾く」前に「歌う」、歌う前に「CDで曲を聴く」というプロセスから始めます。

レッスンで先生が新しい曲を生徒に紹介した時に、お家でCDをよく聞いている子は「私その曲知っているよ!」と、自慢げに言うことがあります。

知っているからすぐに歌えて、歌えるから弾けるので、その曲の習得が早くなります。

知っているから、「歌ってみたい。」「弾いてみたい。」と感じるわけです。

だとすれば、曲を正確に、たくさん記憶できる力は、音楽を学習する上でも、とても大切な力と言えるのではないでしょうか。

③曲を再現する能力が高い

この動画は、キッチンでお母さんが歌った鼻歌をリビングで、ヤマハに通う子供が、耳コピして弾き出したという様子です。

音感があることの一番の特長は、「聴いた曲が楽譜が無くても弾ける」ことです。

子供たちが弾きたい曲は、今も昔も流行歌です。

アニメソングやyoutubeで見つけた曲を、いかに素早く弾けるか、家族や友達に聴かせたいという子も多いです。

でも、耳コピが出来ない場合、弾きたい曲が見つかった時、まず楽譜を探す、買うという煩わしさで”弾きたい気持ち”が失せてしまうかもしれません。

それに発表したての新曲は、楽譜の発売までにタイムラグがあります。

音感が有る人は、聴いた直後に鍵盤に向かって弾きだします。

次の日にはそれを学校で弾くことも出来るのでかなり強いアドバンテージになることでしょう。

 

④伴奏や合奏が得意になる

単にメロディーだけでなく、ハーモニーやベースライン、編成楽器のすべてを記憶できる音感保持者もいます。

そんな人は、他人の弾くメロディーに即座に伴奏をつけてあげることができ、大変喜ばれます。

メロディーだけなら、右手だけなら弾けるという人は多くいます。

楽譜があれば、コード譜があれば伴奏が出来ますという人もいます。

でも、何もない状態で、その曲を知っているだけで伴奏を即座につけられる人がほとんどいませんので、この力はかなり重宝がられます。

⑤他楽器の習得とチューニングが早い

音感があると、学校の鍵盤ハーモニカやリコーダーが得意になります。

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学校で学ぶ程度の曲であれば、聴いてすぐに覚え、ドレミの鳴らし方さえわかれば、ピアノ以外の楽器でもすぐに音階が鳴らせるようになります。

音を間違えれば、自分の耳ですぐに気づき修正できるので、基礎的な程度であれば、周りが驚くほど速く、独学で演奏できるようになります。

バンドや吹奏楽をしていて、早く、正確に楽器の音を合わせることは大事です。
ですが、音感が無い人は自分の耳が頼りにならないのでチューニングメーターという機械をつかって合わせます。

ところがこの機械。あまりに音がかけ離れていると正常に動作しないことがあり、慣れないと結構時間がかかったり、合わせきれなかったりします。

音感保持者は、ほぼ正しい位置まで機械無しで合わせられるので、自分の楽器をサっと合わせた後、他のメンバーのチューニングまで助けられるので、大きな時間短縮となり頼りにされます。

演奏中に徐々に狂ってきた時もすぐにわかるので、いわゆる音痴なバンドには決してなりません。

ある音感保持者の子供さんの話ですが、

家族でカラオケに行った際、お父さんのkeyに合わせて、音程を変えてあげるのだそうです。

しかも、お父さんの出せる一番高音や低音の音程を把握していて、

「この曲なら、3つ下げる。これなら2つ。」

と、曲とお父さんの音程幅を瞬時に計算して、イントロが終わらないうちにコントローラーを操作してしまうのだとか。

お父さんは、

「カラオケに行くには欠かせない存在だけれど、それにしても不思議な能力だね。」

としきりに感心しておられました。

⑥言語の習得スピードが早い


音楽を習うことで耳が良くなり、英語のリスニング力が上がるというのは、なんとなく想像できますね。
でも実は、それだけではありません。

なんと、正確に発音する力、言葉を記憶する力、文法の判断力、文章の理解力においても、音楽経験が豊富な人はそうでない人に比べて優れているようです。

メルボルン大学のGary E. McPherson教授は、音楽経験の豊富な人に見られる高い言語能力として、こんな力を挙げています。

・目にした単語のリストや短い言葉を覚える
・例外的なスペルの単語を正しく発音する
・文法の正誤判断をする
・複雑で長い文章を理解し、記憶する

音感保持者のある学生さんが、英国に留学した際、TOIEC高得点の同級生より早くに言葉のコミュニケーションがとれるようになったと話してくれました。

英語の発音は日本語より音域帯が高いそうで、まず耳がそれに慣れないと聴き取りがうまく行かないのだとか。

「音楽をやっていて良かった。」と実感したそうです。

 

まとめ

いかがでしたか?絶対音感が身につくことで、お子さんの音楽の世界がこれだけ広がります。

自分で聴いたものが弾けるだけではありません。

多少音楽の心得がある方でも、メロディーしか弾けなかったり、一部の楽器しか演奏できなかったりする人が多いです。

そんな中、音感保持者は伴奏にまわったり、他の楽器を使ったりして、周りの人の役に立ち、喜ばれるシーンが増えるのです。

自分の音楽が人の役に立つ。これほど素晴らしいメリットが他にあるでしょうか。

是非お子さんの身につけたい能力ですね。

ただ、絶対音感には身につきやすい時期があり、9歳を超えると身につかないと言われています。

お子さんには楽しい音楽生活を過ごしていただきたいと思いますので、次の記事も合わせてお読みいただければ幸いです。

 

 

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